委員会事業
令和6年度 事業計画について
令和6年元日に発生した「能登半島地震」では、津波・火災・家屋の倒壊などにより多数の死者行方不明者を出し、また、土砂崩れなどにより国道・県道など各所で通行止めが発生しました。土砂崩れ箇所の多くが海岸部若しくは山間部であったことから、被害状況の把握に手間取り、また、迂回路が少ないことから緊急復旧に多くの時間を費やすこととなりました。発災直後から国土交通省北陸地方整備局を中心に調査・道路啓開が進められ、地元建設業者を中心とした24時間体制での作業もあって、最大33地区あった孤立集落は2月13日をもって全てが解消されております。本協会におきましても、富士砂防事務所からの支援要請を受け、1月15日から21日までの7日間、待機支援車の管理要員として2名を派遣させていただいております。しかしながら、今なお一部の地域において上下水道等の復旧が進まず、多くの住民が不自由な暮らしを余儀なくされています。一刻も早く道路・上下水道などインフラ施設の復旧を終え、被災された方々に平穏な暮らしが戻ることを願うばかりです。今回の地震により、改めて災害時に即応できる体制の整備と、現状に則した道路啓開計画策定の必要性を痛感することとなりました。今後は、会員間の意思疎通を図るとともに、道路管理者との活発な意見交換を進めていきたいと考えております。
さて、かねてより課題とされておりました「建設業における2024年問題」が、この4月からいよいよ始まります。建設業界では人手不足が深刻化しており、これが長時間労働につながり、労働条件の悪化が更に新規就労者の減少を招いています。社員の高齢化も進んでおり、国土交通省の試算では今後10年間で建設労働者の3割以上が引退するとしております。また、帝国データバンクの調査によれば、建設業の7割で人出が不足している状況にあり、うち5%の企業では非常に不足しているとしています。全国的には、施工管理者や労働者の引退などにより工事の受注や施工ができなくなり、中小建設業者の倒産が増えていくとされています。このままでは、道路や河川、建築物など公共施設の維持補修が困難となるだけでなく、先に記述した災害時における体制の確保もできなくなることが予想されます。本協会としましては、会員に対し労務管理の見直しや業務の効率化を呼び掛けるとともに、新規就労者確保のためのイメージアップ作業を進めていく必要性を感じております。例えば、高校卒業予定者へのインターンシップ事業の強化、小中学生への建設業を紹介するイベントの実施など、会員間で意見交換を行い、試行錯誤を重ねながら実施していきたいと考えております。
以上のことから、令和6年度の事業計画を次のとおり策定し、会員間の連携を図りながら、地域を支える建設業の発展のため、より一層積極的に事業活動を展開することといたします。
(重点事項)
1.構造改善の推進
健全経営を目指して経営の合理化等に努め、経営と技術に優れた企業として市 場競争力を強化促進している企業が、適正な評価を得られ、公正かつ合理的な運 用がされるよう関係機関に働きかけていく。また、不良・不適格業者の排除問題、 建設生産システムの合理化、更に業界における自主的な秩序の保持と倫理の確立 により地域から理解と信頼をされる建設業を目指し、関係法令等を遵守し、適正 取引の一層の推進を図るなど関係機関と連係を図りながら真摯に取り組んでいく ものとする。
2.ICT施行・DX化対応
国及び静岡県においては、公共事業の効率化のため、ICT施工、DX化事業等が試行されており、協会員の技術、技能向上を図っていく。
また、少子高齢化により労働力人口が減少する時期にあって、建設業における担い手の確保・育成は、産業の存亡に関わる喫緊の課題であり、労働条件の改善などの取組を加速するとともに、建設現場における「i-Construction」などの生産性向上に資するICT活用技術習得などに積極的に取り組んでいくものとする。
3.雇用改善施策の推進
建設業が基幹産業として若者や女性に夢を与え、生産を託せる産業として発展 を遂げるためには、優秀な人材を確保・育成していくことが益々重要になって来 ている。そのための資格取得や技術向上に係る講習会の開催、技術者制度の改善、 労働環境の整備等これら雇用・労働対策を協会の最重要課題と位置付け積極的に 事業の展開を図る。
4.地域を担う建設業としての体質強化
現在の厳しい社会経済情勢に対応し、建設業界が自ら変化していかなければな らない。地域に密着し住民の防災・災害復旧に対する期待に応え、地域の振興を 担う創造力と活力ある産業を目指し、技術と経営に優れた会員企業への条件整備 のための諸事業を展開する。
5.安全対策
建設災害における三大災害である「墜落災害・建設重機災害・土砂崩壊災害」 の撲滅を目指し、また建設従事者の高齢化に伴う現場安全対策を関係機関と連携 し推進する。
6.建設資材対策
建設関連資材の安定供給を確保するため、関係団体との連絡調整を図る。
7.親睦活動
会員相互の融和を図るため、親睦活動を実施する。
8.奉仕活動
道路及び河川等の美化清掃に努めると共に地域社会への奉仕活動等にも積極 的に参加する。
9.その他
関係諸機関、諸団体との連絡協調、暴力追放、交通安全、福祉運動等本会の 目的を達成するために必要と認められる事業の推進及び、国・県との災害時に
おける協定、家畜伝染病発生時における協定の遵守を図る。
(事業等)
1.会 議
総 会 定時総会 年1回 臨時総会 必要な都度
理事会 年5回程度 その他必要な都度
監事会 年1回 その他必要な都度
その他の会議 正副会長会議、正副委員長会議等
2.総務委員会 必要な都度
・建設業関係法令、制度の普及徹底に関すること
・適正取引に関する調査研究に関すること
・入札契約制度の調査研究に関すること
・協会事業運営に関すること等
3.広報委員会 必要な都度
・建設業施策の広報に関すること
・「富士建だより」の発刊 編集に関すること等
4.労務委員会 必要な都度
・雇用改善に関する施策の推進に関すること
・若手建設従事者入職促進に関すること
・建設キャリアアップシステム 制度、登録、導入に関すること
・労働者の健康増進、及び労働環境の整備に関すること等
5.環境・災害対策委員会 必要な都度
・建設産業廃棄物リサイクル処理に関する調査研究に関すること
・災害時における応急対策業務及び、家畜伝染病発生時における応急対策業務の 見直しについて
・国・県・隣接市町との災害時における応急対策業務に関すること等
6.安全委員会 必要な都度
・安全管理の施策に関すること
・安全パトロールの実施について等
7.親睦委員会 必要な都度
・会員の福利厚生対策に関すること
・会員の融和と親睦に関し、必要と認める事項等
8.その他
・関係機関との連絡調整、各種懇談会・研修会の実施